脂質異常症とは

脂質異常症とは

血液中のコレステロールや中性脂肪の濃度が慢性的に異常値を示す病気です。悪玉コレステロールが増えすぎる「高LDLコレステロール血症」、善玉コレステロールが不足する「低HDLコレステロール血症」、中性脂肪が多くなる「高トリグリセライド血症」に分けられます。こうした状態を放置していると、増えた脂質がどんどん血管の内側に溜まっていき、ついには心筋梗塞や脳梗塞のような動脈硬化性疾患を招く原因となってしまいます。

主な原因

生まれながらの体質的な要因もありますが、多くは、生活習慣の乱れにあります。運動不足や特に高LDLコレステロール血症や高トリグリセライド血症の場合には、食生活が直接的な原因となりやすいので注意が必要です。したがって脂質異常症の予防には、原因を知ったうえで、食生活を適正化することが大切となります。

脂質異常症の治療

基本は、食事療法と運動療法、で、目標が達成できない場合薬物療法を行います。食事などの生活習慣の改善は、血中脂質を下げるだけでなく、動脈硬化の進行を防止します。生活習慣改善の主な内容は、禁煙、栄養バランスのとれた食生活、適正体重の維持、適度な運動などです。なかでも特に重要なのが食事であり、これは適正体重の維持とも深く関わってきます。例えば高トリグリセライド血症の患者様は、糖分や脂肪分の多い食品の摂り過ぎ、飲み過ぎを是正しましょう。特にアルコール類の飲み過ぎは中性脂肪を増やしやすいので、要注意です。

肥満症とは

肥満症とは

体に過剰な脂肪が蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のことを意味しています。体重が増えること自体は特に問題とならないケースもあるのですが、異所性に異常に脂肪が多くなるにつれて生活習慣病(糖尿病やその予備軍、脂質異常症(高コレステロール血症、高脂血症)、高尿酸血症、心血管疾患や脳卒中、脂肪肝炎、睡眠時無呼吸症候群など)のリスクが高まり、最終的には命に関わる場合もあることが知られています。日本人の死因の上位に位置付けられている脳卒中や心臓病の発症には、食事や肥満が大きく関わっているのです。また、中高齢者の多くが罹患している糖尿病なども、肥満との関係性が強い病気です。

肥満の判定

肥満を判定する際には、身長と体重から計算される体格指数(BMI)という数値が用いられます。具体的には、次の計算式で計算出来ます。

BMI = 体重(㎏)÷ ( 身長(m)の2乗 )

※ 例えば身長が1.65メートル、体重が75キログラムの方は

1.65 × 1.65 = 約2.72

75 ÷ 2.72 = 約27.5

すなわち、この方は、肥満1度となります。

BMIによる肥満度の判定

BMI 肥満度
18.5未満 痩せ(低体重)
18.5以上25未満 標準(普通体重)
25以上30未満 肥満1度
30以上35未満 肥満2度
35以上40未満 肥満3度
40以上 肥満4度

肥満症の予防・治療

基本は食事療法と運動療法で、減量することです。食習慣・時間に気をつける、お菓子など間食や飲酒量を控える、食事はゆっくりよく噛んで食べる、からだを動かすなど、日ごろからよく言われていることを実践することです。肥満が高度の場合や肥満による悪影響が現れている場合は、超低エネルギー食療法や、胃を小さくする外科的治療を行うこともあります。
肥満を解消するためには食事療法の効果が大きいのですが、太りにくい体質をつくって、その後にリバウンドしないようにするためには、 運動療法を同時に必ず行うことが重要です。

高尿酸血症

高尿酸血症

高尿酸血症は、文字通り血中の尿酸が増え過ぎてしまう病気です。様々な原因によって起こりますが、特に内臓脂肪が蓄積されている方に多く見られます。内臓脂肪が蓄積されると、脂肪細胞からたくさんの遊離脂肪酸が分泌されます。それが血流に乗って肝臓に運ばれると、プリン体の代謝が過剰になり、老廃物である尿酸がたくさん産生されるのです。血液検査で尿酸値7mg/dL以上が、高尿酸血症と診断されます。この状態が長く続くと、痛風発作、腎結石、腎障害などを起こしやすくなります。最近の研究では高尿酸血症が血管の細胞障害を引き起こし心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞など)の危険因子になることが明らかになっています。

尿酸値が高くなる要因として

  • 男性である
  • 血縁者に痛風のひとがいる
  • 飲酒量が多い(アルコールを週に5日以上(1日量で日本酒1合(180ml)、ビール500ml、焼酎110ml、ウイスキー60ml以上)飲む
  • 甘い飲み物をよく飲む
  • 肉や魚の内臓が好き(プリン体を多く含む食べ物(レバー、干物、しらす干し、エビ、カツオなど)
  • 脱水(1日に飲む水分量が2リットル未満(飲水制限を要するひとは除く))

痛風について

痛風の発症前には、高尿酸血症の状態が長く続きます。それを放置していると、尿酸が関節の中で固まって結晶になり、その結晶にたくさんの白血球が集まってきて排除しようとするために炎症が起こります。ある日突然、足の親指の付け根などの関節が赤く腫れて痛み出します。その痛みは耐えがたいほど強いため、「風に吹かれただけでも痛い」という意味合いを込めて痛風と呼ばれるようになりました。

高尿酸血症の治療

食事療法では、まずカロリーの摂り過ぎに注意しましょう。摂取エネルギー量を控えれば、内臓脂肪や体重が減少してきますし、多くは体重の減少に伴って尿酸値も低下してきます。また、尿酸はプリン体という物質から産生されますので、プリン体を多く含む食品の摂り過ぎに注意しましょう。糖分の摂り過ぎも、尿酸値を上げるだけでなく、メタボリックシンドロームや糖尿病などのリスクを高くするので気をつけましょう。ただし過度に神経質になる必要はなく、とにかくバランスの良い食事を心掛けてください。

さらに、水分を十分に摂ることも大切です。尿の量が増えると、尿酸の排泄量が増加しますし、尿路結石の予防にもつながります。アルコールは尿酸値を上げる作用があるため、節度を守りましょう。特にビールはプリン体を多く含むので、注意してください。また、医師が必要と判断すれば、尿酸の体内での生成を抑える薬や尿酸の排泄を促す薬などが処方されますので、指示通りに服用してください。